FXにはロスカット制度があります。
ただし、高レバレッジで取引している場合、急激な相場変動によって証拠金を失ったうえで、さらに未収金が発生する可能性があります。
この記事では、「何倍くらいのレバレッジから未収金リスクを強く意識したほうがいいのか」を、かなりざっくり整理しておきます。
なお、証拠金以上の損失が発生する仕組みや過去の詳しい事例については、以下の記事でまとめています。

未収金は「証拠金を失ったあと」の不足分
まず確認しておきたいのは、未収金は「損失額そのもの」ではないという点です。
未収金とは、ロスカットなどで決済したあと、口座内の証拠金だけでは損失をまかないきれず、さらに残った不足分のことです。
なお、「追証」と混同されることもありますが、厳密には少し意味が異なります。追証はポジションを維持するために追加で入れる証拠金、未収金は決済後に残った不足分というイメージです。
未収金が発生した場合、FX会社から不足分の入金を求められ、原則として支払う必要があります。
たとえば、証拠金30万円を失ったうえで、さらに未収金30万円が発生した場合、実際の損失は合計60万円というイメージになります。
つまり、FXでは「入金した証拠金だけ失って終わり」とは限りません。

過去には1件あたり数十万円規模の未収金も発生
金融先物取引業協会の「ロスカット等未収金発生状況」では、過去の急変時に発生した未収金のデータが公表されています。
個人の発生金額を発生件数で割ると、1件あたりの未収金は以下のようになります。
| 発生日 | 主な相場変動 | 個人の1件あたり未収金 |
|---|---|---|
| 2015年1月15日 | スイスフラン急変 | 約171.3万円 |
| 2015年8月24日 | 南アランド/円、米ドル/円など | 約17.2万円 |
| 2019年1月3日 | 為替相場変動 | 約12.6万円 |
| 2021年3月22日 | トルコリラ/円 | 約39.9万円 |
この金額は、あくまで「証拠金を超えて残った不足分」です。
そのため、実際には、もともと入れていた証拠金の損失も別にあると考える必要があります。
高レバレッジほど未収金リスクは大きくなる
証拠金と同じくらいの未収金が発生するかどうかは、主に「実効レバレッジ」と「相場の急変幅」で決まります。
実効レバレッジが低ければ、かなり大きく逆行しない限り、証拠金と同額レベルの未収金は発生しにくいです。
一方で、実効レバレッジが高いほど、少しの値動きでも損失が大きくなります。
さらに相場急変時には、ロスカット注文が想定どおりの価格で約定しないことがあります。
価格が飛ぶことでスリッページが大きくなったり、スプレッドが大きく広がったりすると、ロスカット水準より不利な価格で決済され、証拠金以上の損失につながる可能性があるのです。
| 実効レバレッジ | 未収金リスクの見方 |
|---|---|
| 1〜2倍 | 通常時はかなり低い。ただし絶対安全ではない |
| 3倍前後 | 急落には注意。ただ、証拠金同額レベルの未収金はかなり極端なケース |
| 5倍前後 | 高金利通貨では警戒ライン |
| 10倍超 | 大きな急変で未収金が現実味を帯びる |
| 15〜25倍 | 急変時に証拠金超過損失が出やすい危険域 |
この表は、あくまで私なりの目安です。
ただ、実効レバレッジが10倍を超えてくると、急変時には証拠金と同額レベルの未収金が発生する可能性も現実味を帯びてきます。
15倍〜25倍に近い運用では、相場が大きく動いたときに、証拠金以上の損失が出やすくなるため、かなり慎重に考える必要があります。
ざっくり計算するとどうなるか
かなり単純化すると、損失の大きさは次のように考えられます。
損失率 = 実効レバレッジ × 為替の逆行率
たとえば、実効レバレッジ20倍で運用しているとします。
この状態で為替が10%逆行すると、単純計算では証拠金の約200%分の損失になります。
つまり、証拠金を失ったうえで、さらに証拠金と同じくらいの不足分が出るイメージです。
もちろん、実際にはロスカット水準、約定価格、スプレッド、流動性などによって変わります。
ただ、高レバレッジでは「少し逆行しただけでも大きな損失になりやすい」という点は変わりません。
スワップ投資では5倍前後でも注意したい
スワップ投資では、トルコリラ円、南アフリカランド円、メキシコペソ円などの高金利通貨を保有することがあります。
これらの通貨は、スワップポイントが高くなりやすい一方で、急落することもあります。
短期売買ではなく長期保有だから安全、というわけではありません。
むしろ、長く持つほど、急落相場や週明けの窓開けに巻き込まれる可能性もあります。
特に週末に大きなニュースが出た場合、月曜朝に前週末より大きく離れたレートで始まり、損切りやロスカットが想定より不利な価格で約定する可能性があります。
個人的には、スワップ投資で実効レバレッジ5倍前後になってくると、かなり警戒したい水準だと考えています。
スワップポイントを増やしたくてポジションを増やすほど、急落時のダメージも大きくなります。
低レバレッジでも絶対安全ではない
一方で、実効レバレッジ1〜2倍程度であれば、証拠金と同額レベルの未収金が発生するには、かなり極端な値動きが必要になります。
そのため、高レバレッジ運用と比べると、未収金リスクはかなり抑えやすいです。
でも、低レバレッジでも絶対安全とは言えません。
過去に起きたような急変相場では、想定以上にレートが飛ぶことがあります。
そのため「低レバだから大丈夫」と考えすぎるのではなく、余裕資金で運用することが大切です。
まとめ
FXでは、ロスカット制度があっても、急変時に証拠金以上の損失が発生する可能性があります。
特に高レバレッジで運用している場合、証拠金を失ったうえで、さらに証拠金と同額レベルの未収金が発生するリスクもあります。
目安としては、実効レバレッジ10倍超から未収金リスクが現実味を帯びやすく、15〜25倍はかなり危険な水準だと考えています。
スワップ投資では、実効レバレッジ5倍前後でも警戒ラインです。
スワップポイントの金額だけを見てポジションを増やしすぎると、急落時に大きな損失につながる可能性があります。
ロスカットに頼りすぎず、レバレッジを上げすぎないことを意識しておきたいところです。



